第10章 強く。
「貴様の昼ごはんをもらった礼に
甘味でも食べるか。」
「いいんですか?!ぜひ!」
近くの甘味所の椅子に腰掛け
名物だというみたらし団子を注文する。
店内では看板娘であろう髪を後ろで結った女の子が
パタパタと動きながら笑顔で接客している。
「貴様はここで生きる覚悟はできぬのか。」
「へ??」
急に話し出した信長様をみる。
「前の軍義のときに貴様は覚悟をみせたが
それは生きる覚悟ではなく
どうなってもいいという覚悟だった」
「!!!………そっそれは。、。」
信長様がまっすぐ私をみつめる。
この人にはなんでもお見通しなんだろうか。。。
「貴様は時として刹那的に笑い
刹那的に消えそうになるときがある。」
「………。」
「貴様の家族も友人もここにはいないが、
ここにも貴様のことを思う者達がいることを忘れるな」
「…………。」
言葉が出てこない。
「おそらく貴様のことだ。自分の居場所がないだの、
ここにいる理由がみつからないだの考えているんだろう。
そんなに理由がほしければ
俺がその理由になってやる。」
「え。。。」
「貴様はここで生きろ。これは命令だ。」
「なっ。。。なんですか、その命令。」
「貴様は無意味な存在ではない。
少なくとも俺や、家康にとってはな。」
「それってどういう。。。」
「お待たせしました!!みたらし団子二人前です!!」
看板娘が私たちの間にお茶とみたらし団子をおく。
「ほら、食べろ。」
「えっ、あっはい。。。」
まだ答えが聴きたいのに、
信長様は気にせずみたらし団子を口に運ぶ。
「貴様のつくる弁当が食べられないのはつらいからな。」
「ええ!!なんかそれもう完全に弁当要員じゃないですか!!」
「そうとも言う。」
「ひどいです!!!」
「ふっ、俺の弁当を作れると言うことに
むしろ喜べ」
「なんですか、その言い方。」
そういいながら
またみたらし団子を口に運ぶ。
甘い香ばしい味が口の中に広がる。
美味しくてなのか涙がでそうだった。