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蒼い月

第15章 再会


「ミロカロスを取り返せたのはある意味偶然だったし、むしろあのとんでもない事業を潰すことが出来たし。お礼を言うのはこっちね」

その時だった。

「ああぁー!」

突然、オレンジ色の髪の少年がフェリシアを指差して叫んだ。

「君、あの時の女の子!」
「へ?」
「ヒコ?」(へ?)

変な声と共に首を傾げるフェリシアとフィアンナ。

「フェリ、千石と会ったことがあるのか?」
「多分ないと思うんだけど...」

困惑する柳達をよそに、千石と呼ばれた少年はフェリシアの両手をがっしりと握った。

「俺千石清純。『せいじゅん』って書いて『きよすみ』って読むんだ。君の名前は?」
「わ、私?ミアレシティのフェリシア。こっちはパートナーのフィアンナ」
「フェリシアちゃんって言うの?名前も可愛い~!」
「あ、ありがと...」
「ヒコヒコ...」(何コイツ...)

千石のパワーに圧倒されるフェリシアとフィアンナ。

「で、どこで千石と会ったんだい?」
「さぁ...?私もわかんない。一度会った人って忘れないんだけど...」
「何言ってるの、フェリシアちゃんがヤミカラスを追いかけてる時に会ったじゃんか~」
「え?」

必死に記憶を辿るフェリシア。しかし、思い出せない。そこで千石はフェリシアに会ったときのことを話し出した。

「歩いてる時にさ、ヤミカラスが俺に向かって飛んできたんだ。何かキャスケットみたいなの持っててさ、誰かのかなって思った瞬間に目の前にフェリシアちゃんがいて、このままだとぶつかるって思ったらさ、彼女、ジャンプして俺のこと飛び越えたんだよ!しかも空中で1回転して!いやぁ~ホントあれは凄かったなぁ~。そんな格好可愛い子とまた会えるなんて、俺ってばラッキー!」

千石の話に、ようやくフェリシアは思い出したらしい。

「確かに、ヤミカラス追っかけてる時に誰かにぶつかりそうにはなったけど...相手の顔までよく見てなかったし...それにあの時はヤミカラス追っかけるのに必死になってたから」

確かに、あんな全力疾走している状態で周りまで見ていられたらすごいとは思うが、あの時のフェリシアにそんな余裕はなかったらしい。
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