第9章 計画と準備
バトル後。
所変わってまたまた校長室。
「いやぁ、まさか女性の身で我が校の3強の一人に勝ってしまうとは」
吉沢はまた卑しい笑みを浮かべながらプラターヌ博士とフェリシアに向き合った。
「娘はこれまでいろんな地方を旅してきましたから、バトルの経験は豊富なんですよ」
「それでも、我が校のバトル部は全国大会2連覇を成し遂げています。今回負けたのも偶然でしょう」
「...それは、僕の娘とポケモン達の努力を馬鹿にしている発言ととりますが」
プラターヌ博士と吉沢校長は互いに譲らない。
「...いくら強いと言っても、私からしてみれば圧倒的に経験不足だと思いますよ」
大人達の言い争い(つか吉沢の言い分)に嫌気が差したのか、フェリシアは口を開いた。
「この地方ではトレーナーの旅立ちは16歳からだと聞きました。カロスを含め、他の地方の旅立ちは10歳から。この差は大きいと思いますよ」
「...つまり、何が言いたいのですかな?」
吉沢はイライラを隠さずにフェリシアに詰め寄った。
「まだ解りませんか?このニッポン地方の子供達がこうして狭い地方で学んでいる間、他の地方の子ども達は自分の足で旅をして経験を増やしているのですよ。別にスクールに通うことは悪いことだとは言いません。でも、スクールに通う子どもって、基本に凝り固まってしまう傾向があるのです...それこそ、女性を馬鹿にする発言とか、ね」
フェリシアは半分呆れながら言った。が、吉沢はあまりよく解ってないようだった。
「だから、私は女性を馬鹿になどしていません。ただ、バトルは男性、パフォーマンスは女性がすべきだと思っているだけですy「ダァンッ!!」っ?!」
吉沢が言い終わらないうちに、フェリシアは豪華なテーブルに片足を勢いよく乗せた。
「じゃあ、カロスとシンオウの現チャンピオンは誰だかご存知ですか?」
「は?」
「ホウエンのコンテストマスターは誰だかご存知ですか?」
「え、いや...」
「カロスとシンオウの現チャンピオンは二人共女性ですし、ホウエンのコンテストマスターは男性です...貴方の発言は、彼らと彼らのポケモン達の努力さえも否定していることになりますよ」
「な、」
「人の努力や考えを否定するなと、このスクールでは教えないのですか?」
冷ややかな目で、フェリシアは吉沢を見下ろした。