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蒼い月

第29章 対策会議


「泣かないでフェリ」

そっとフェリシアを抱き締める幸村。

「君からしてみれば辛いことかもしれないけど、俺達にとっては良かったと思ってる」
「...なん、で」
「だって、君がニッポンに来なければ、俺達は何も知らずに生きているだけだった。君達のことも、愛宮財閥のことも...只の傍観者になりかけてたんだ」

静かに続ける幸村。

「だから、いいんだ」
「......と、」
「え?」
「あり、がと......」

そっとフェリシアの背中を叩くと、恐る恐るといった感じで抱きつかれた。

「して、これからどうする?」
「デスサイズ団は見つけ次第ジュンサーさんに通報、被験者達と遭遇した場合は速やかに保護、か」
「襲って来たらどうするんだ?」
「うーん、サイコキネシス等で動きを止める、光の壁等で攻撃を防ぐ、催眠術等で眠らせる、とかかな」
「成程」
「でも、ポケモンのレベルが低ければ、突破される可能性もある」
「だったら...」
「決まってるじゃない」

涙を拭ったフェリシアが立ち上がった。

「特訓、あるのみ、よ」
「落ち着けフェリ、お前の特訓内容は些かハードすぎる」
「?そうなの?」
「無自覚かよ...」

何故か入った軽いボケツッコミに、部室内の雰囲気は若干明るくなった。

「でも、特訓するのは賛成だ。デスサイズ団の牽制にも、俺達自身のレベルアップにも繋がる」
「そうと決まれば、やるよ、皆!」
「「「「「「「「イエッサー!」」」」」」」」

幸村の掛け声を合図に返事をする一同。
戦うことを決めた若人達は一斉に走り出す。
まだ見ぬ敵を倒すために。




















「そう言えば、この前知り合いから連絡来たんだけど、」

特訓中、唐突に幸村が言った。

「もし都合が合えば練習試合しないかって」
「練習試合?相手は何処だ?」
「相手は、――――――、」

幸村が持ってきた練習試合の話が、今度は嵐を巻き起こすことになろうとは誰も想像つかないのであった。
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