第22章 稲妻と波動
フェリシアがヒョウテイ学園へ行って数日後。
もうすぐ昼休みが終わろうとしていた時だった。
ズダダダダダダッ
誰かが廊下を猛ダッシュする音が聞こえてきたのである。
「ん?」
「誰だろ...?」
顔を見合わせる幸村とフェリシア。
そして、
ガラッ
「幸村部長!フェリさん!居ますか!?」
「赤也君?!」
ダッシュしていたのはなんと赤也。
「赤也、廊下走ると真田がうるさいよ」
「すんません幸村部長!って其れ処じゃないんすよ!」
「何があったの?」
「裏側の森でポケモンが暴れてるんす!」
「ポケモンが?!」
「今真田副部長や先生達も向かってるっす」
「先生達は兎も角、真田達がいるなら大丈夫じゃない?」
(精市君、それちょっと酷くない...?)
「それが」
その瞬間だった。
ズドッカーーーーン
何処からか爆発音が聞こえてきたのだ。
「今のって...」
「裏側の森の方角だ!」
「精市君、私ちょっと行ってくる!」
「俺も行くよ」
「早く行きましょう!」
「あぁ/えぇ」
3人は猛ダッシュで裏側の森へと向かった。
裏側の森では。
リッカイバトル部員をはじめ、バトルの腕に自信のある教師陣がとあるポケモンを囲んでいた。
「あのポケモン、かなり体力を消耗しているようだが...様子が可笑しいな」
「つか、此処にあのポケモンって生息しとったかの?」
「迷いこんできたのかもしれませんね」
目線をポケモンから外さずに会話するレギュラー陣。
そこへ、
「真田副部長!柳先輩!」
赤也達が駆けつけた。
「精市、フェリ、」
「蓮二、状況は?」
「膠着状態だ。こちらとしては一刻も早く保護したいのだが...」
「それどころじゃないってことか」
幸村の目線の先には傷つき、ボロボロになっている黄緑色のポケモン。
「ガルルルル...」
「暴れてるポケモンって、ラクライだったのか...」
呟く幸村。フェリシアは自身のポケモン図鑑をラクライに向けた。
「ラクライ いなずまポケモン。せいでんきを たいもうに たくわえて ほうでんする。あらしが ちかづくと ぜんしんから ひばなを ちらす」
無機質な音声が辺りに響く。