• テキストサイズ

蒼い月

第21章 氷の王国


「一度負けたとは言え、何故それだけで部長の座を降ろされなければならないんですか?敗けから学ぶことだって沢山ある!敗者は必要ないっつーのは、ポケモンが弱くて勝てなかったから捨てるって言ってるのと同義だ!」

今にも胸倉を掴みそうな勢いでフェリシアは榊に詰め寄った。

「それに私はリッカイの皆が好きだ!私はリッカイバトル部のマネージャーとして、皆が全国優勝するのをこの目で見届ける!その邪魔は誰にもさせない!させるもんか!」

いつの間にかフェリシアの瞳孔にはXの紋様が浮かんでいた。

「...部外者の私が言うのも筋違いかもしれませんし、自分勝手なこと言ってるのもわかってます...でも、お願いします。跡部君をレギュラーから、部長の座から降ろさないであげてください」

フェリシアは榊に向かって頭を下げた。
これには榊や跡部だけでなく、ギャラリー全員が驚いた。

「...俺からも頼んます監督。跡部が居らんと、ヒョウテイは纏まらへん」
「...」
「忍足...」

忍足も頭を下げた。

「............」

そして長い沈黙の後、それを破ったのは榊だった。

「...跡部、」
「...はい」
「お前にペナルティを課す......部長としてヒョウテイバトル部を率い、全国優勝しろ」
「!」
「これがお前へのペナルティだ」
「監督...ありがとうございます」
「行ってよし」

跡部は頭を下げた。

「良かったね、跡部君...これでさっきのはチャラね」
「あぁ...お前には借りが出来ちまったな」

笑い合う二人。

「じゃぁ、私は本当にこれで」
「A~フェリシアちゃん帰っちゃうの?!」
「ごめんねジロー君、今日も練習あるから、早く戻らないと」
「せやでジロー。我が儘言わんとき」
「うぅ~」
「リッカイの奴らによろしく言っといてくれ」
「えぇ」

わいわいと賑やかな空間。
しかしその周りに、どす黒い感情を持った人間が居ることに、誰も気付くことはなかった。



















――あの女、赦さない――











――潰してやる――
















フェリシアの知らない内に、歯車は少しずつ、動き、そして狂い始める。
/ 196ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp