第12章 決意と躊躇と敵とヒーロー
敵を目の当たりにした生徒たちの反応は、正直だった。
敵という存在自体を信じきれない者、すぐさま現状把握に務めようとする者、涙ぐんで少しでも教師の近くに行こうと駆け寄っていく者。
みんなの反応は正直で、そのうちどの行動を取ったとしても、きっと、間違ってはいない。
間違っているのは、私だけ。
私だけがこの場で1人、異質で、歪なまま。
『……先生、私も戦います』
「勝手な行動を起こすな、13号の側に居ろ!」
勝手だろうか。
大切な人間が戦いに行こうとしている背を、引き留めたいと考えてしまうのは。
きっと、勝手なんだろう。
彼はそんなこと、望んでなんかいないから。
『……っ…でも………』
あぁ、お願いだから背を向けないで
私を見て
胸が苦しくてどうしようもない
この声が聞こえないの?
『ッ……待って!!』
叫んだ声に振り返ることなく
彼は戦場へと赴いた
大切な生徒たちを守ろうと
私に見向きもしないまま