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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第91章 風向きが変わったら




ーーー事件発生まであと2時間半


<……本気で言ってるんですか?>


林間合宿で倒れてから、意識が戻っていなかった向から連絡が入った。
その吉報を受け、待機していたプロヒーローたちへと作戦の決行が指示されてすぐ、オールマイトは記者会見を控えている相澤へと電話を入れていた。
電話口から聞こえてくる後輩の刺々しい口調。
オールマイトはほんの少しの申し訳なさを感じながらも、毅然とした態度で今まで閉口してきた彼女との「取引の内容」を訥々と告げた。


「あぁ、ずっと黙っていてすまない。泳がせて、尻尾を掴む予定だった。今日でそれも最後だ。…けれどその前に、君に話しておくべきだと思ってね」


オールマイトに告白してきた彼女の言い分を聞く限り、USJの出来事さえなければ死柄木、向の関係は依然として「友人関係」と呼ぶに相応しいものだった。
友達とはいえ、USJ以降、彼女が死柄木との関係を口外せずに来た事実はヴィランを世間から隠し、誤魔化した犯人隠避罪というものに当てはまる。
子どもとはいえ、立派なルール違反。
しかし、彼女はオールフォーワンの存在を警察やアメリカのプロヒーローに訴え続け、信じてもらえず、酷い仕打ちを受け続けてきた。
実際、彼女が訴え出たという警察署の記録には正規の捜査や処理はされないまま書留程度に彼女のことが書かれていた。
そして彼女は、母親から空港に置き去りにされた時も、警察に見放されていた。
警察に隠す気があった、というよりは。
警察に届け出るという行為に、「必要性を感じなかった」、という方が正しい。
先に彼女を見放したのは警察であり、義務を放棄したのも警察だ。
世間に知られることがあれば、間違いなく民衆は警察を糾弾するだろう。
彼女が未成年であることと、警察の行いを棚に上げて彼女だけを罪に問うのはおかしい、と。
オールマイトは塚内に打診し、すぐに結論が下された。



保須で特赦を免れた彼女にも、一度だけ特赦を与えることとする。
警察上層部が特赦を与える条件として提示したのは、敵連合の捜査への助力を惜しまないこと、そして。






「向少女、プロヒーロー活動仮免許証…持ってるんだろ?」





仮免取得者として。
敵連合を追い詰めるプロヒーロー達のもと、今回の爆豪救出作戦の裏取りを任されることだった。
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