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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第90章 友さえ罵れ




『何って?友達に会いに』


作り込んだようなおまえの微笑。
何度も見てきた。
だから一瞬でわかった。


(…あぁ、なんか企んでんな)


なんでテメェが?
怪我はどうした?
出会った頃は聞きたいことなんざ何もなかった。
けど、今となっては。
問い詰めたいことばかり思い浮かんで、頭の整理が追いつかねぇ。


「……今、なんつった?」


何考えてんのか知らねぇが、とりあえず驚いたフリでもしておくか。
適当におまえのお粗末な演技に付き合ってやったら、浅はかすぎる言葉の裏に、やっぱりおまえの魂胆が見えた。


『……弔、スカウトに手枷も良くないよ』
「……ピザの次は手枷を外せって?…おいおい……おいおいおいおい……重役出勤しといて偉そうじゃないか」
『間違ったことは言ってない。仲間になりたいのなら、対等に扱うのが筋だよ』
「筋…?おまえを助けてやった俺に散々筋を通そうとしなかったおまえが…?筋だのなんだの説教か…?」


助けてやった、だァ?
ヴィランのくせに何ほざいてやがる。


(……オイ、「友達」って……)


死柄木と深晴の会話に耳を傾けて。
そこで、ようやく気づいた。





























ーーー友達を選んだことはある?



























「どーもォ、ピザーラ神野店です」


崩れ落ちるバーの壁の破片とともに雪崩れ込んでくるヒーロー達を見て、俺は目を丸くした。
そして、なんでかわからねぇ焦燥感に煽られ、すぐにおまえを見た後、死柄木にも視線を走らせた。
予想通り、おまえらは一切視線を晒さず。
まるで二人だけの世界に立ってるかのように、ほんの数秒の間。
見つめ合って、視線を交わし続けた。
おまえは遠い昔を懐かしむような愁いを帯びた面持ちで、小さく小さく呟いた。


『……ごめん、弔』


聞こえてるわけねぇのに。
死柄木はおまえの言葉を拒むかのように、目を見開いたままやり切れない思いを口先から零した。


「……なんで……?」


聞こえてるわけ、ねぇのに。
おまえが強く強く瞑目したのを見て。
分かった。































(………こいつ)





























迷ってやがる










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