第77章 破綻者のレッテル
ーーーAM6:50
「切島くん、上鳴くんそろそろ起きないと。遅刻したら朝ごはん無くなっちゃうよ?」
「緑谷ー…連れてってー…おまえの個性なら俺ら二人ぐらい運べるだろ」
「運んでもいいけど、それ見られたら朝ごはん抜きじゃ済まされないんじゃ…」
大半の男子生徒たちが一階へと向かったあと。
先言ってて、と瀬呂を送り出したはいいものの、一向に布団に丸まった芋虫状態から脱しようとしない切島と上鳴を心配し、緑谷が声をかけた。
あわや緑谷まで遅刻してしまうという状況を放ってはおけず、彼と一緒に二人を待っていた飯田がビッ!と手を縦振りして声を張った。
「切島くん、上鳴くん。合宿は始まったばかり、ここで折れてどうする!」
「うあー眠てぇ!でも確かに飯田の言う通りだよ、頑張る!起きろ上鳴、まだ三日目だぞ!!」
「いやいや元気かよ…朝ごはん抜いたとしても眠っていたい…」
セイヤ!セイヤ!という飯田の掛け声に合わせ、飯田と切島が上鳴から布団を引っぺがそうとする。
「ギリギリでいつも生きていたいからぁああーー」と文句を叫ぶ上鳴は、おそらく家では必ず二度寝三度寝を決め込むタイプなのだろう。
ついに布団を奪われた上鳴がそのまま転がって襖の方へと「一応は」向かい始め、止まりきれずに冷たい廊下に身体を打ちつけたところでようやく観念し、ゆらりと立ち上がった。
「…だってさぁ、もうどうしてくれんの。マジやる気湧かないんですけど。俺としてはいつメンで花火とか肝試しとかワイワイ盛り上がりたかったわけね?でも一番の協調性の要のおまえと深晴が協調性失ったらさ、絶対深晴女子の方行っちゃうじゃん。絶対そうだよ。マジないわぁ。なんか爆豪も、もはや先行ってるしさ。マジない。マジ寂しい」
「おまえの忠告聞かなくて悪かったって。機嫌直せよ、なっ?」
「何が「なっ☆」だよ。そうやって仲良しの忠告にも耳を貸さねぇ不届きやろうだから、『友達選んだことある?』なんて聞かれる冷たい奴認定されちゃうんだよおまえは」
「は?おまえは聞かれてねぇのかよ。冷たい奴だから聞いたっていうより、きっとそんな奴じゃないだろって意味合いだったっつーの!」
「聞かれてねぇし、んなわけないって分かり切ってるんだとしたらわざわざ聞く意味なんてないだろ?そういう奴っしょ?って意味だって」
「「えっ」」