第71章 似た者同士
「煌めく眼でーロックオン!!」
「キュートにキャットにスティンガー!!」
ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!
突如停止したバスから降りるように促され、拓けた広場に降ろされた1-Aの生徒たちの目の前。
ビシッと名乗りを上げた二人の女プロヒーロー達は、そのコードネームに所縁ある猫耳と猫の手を装備している。
「今回お世話になるプロヒーロー、「プッシーキャッツ」の皆さんだ」
さらっと生徒達に今回世話になるプロヒーローの正式名称を紹介した相澤の声に被せて、目を輝かせた緑谷が叫んだ。
「有名事務所を構える4名一チームのヒーロー集団!山岳救助等を得意とするベテランチームだよ!キャリアは今年でもう12年にもなる…!」
必死の形相で緑谷の顔面を鷲掴み、「心は18!!」と野太い声を発したピクシーボブを遠目に眺め、切島と上鳴が「必死かよ…」と呟いた。
『……ねこ…30歳……』
「深晴ちゃん、猫好きなの?」
『……いや……』
あまり、快くねぇな。
苦々しげに眉間にしわを寄せて、向が独り言を呟いた視界の隅。
似たような目つきでプッシーキャッツの二人を見つめていた少年が、舌打ちをした。
「ここら一帯は私らの所有地なんだけどね?あんたらの宿泊施設はあの山のふもとね!」
「遠っ!!」
プッシーキャッツが一人、赤いユニフォームに身を包んだマンダレイが高台から遠い山の麓を指差し、生徒達を振り返る。
「え…?じゃあ何でこんな半端なとこに…」
「…いやいや…」
「バス…戻ろうか……な?早く」
今は、午前9:30。
そう伝えたマンダレイは、どうやって動かしているのか腰についた尻尾をゆらゆらとさせながら、不敵な笑みを浮かべた。
「早ければぁ…12時前後かしらん」
「ダメだ…おい…」
「戻ろう!」
「バスに戻れ!!早く!!」
「12時半までに辿り着けなかったキティはお昼抜きねー!」
動き出したバスに気づき、駆け出した生徒達を眺めて。
相澤が「わるいね諸君」と謝罪した直後。
地面に手をついたピクシーボブの個性によって、広場一帯の土が盛り上がり、土砂崩れのように生徒達を宙へと投げ飛ばす。
「合宿はもう、始まってる」