第8章 キミに近づきたい
「そんなん…アリかよ…」
人は生まれながらに平等じゃない。
「個性使えよ…デク…!」
これは齢4歳にして、みんなが知る社会の現実。
(噴出する爆発…遠距離にも対応できるようコスチュームに要望を出したんだ…!)
「…麗日さん、状況は!?」
「無視かよ、すっげぇな!」
大規模な爆発が脇を抜けていった驚きと、体感した爆風の熱さで、緑谷の心臓は早鐘を打っている。
それでも、緑谷は命の危険を感じた恐怖を出来る限り表情から追いやって、爆豪と戦う姿勢を見せた。
爆炎を放った直後、オールマイトから警告を受けた爆豪は、「殴り合いだ!」と怒鳴りながら、緑谷の方へ爆風を使って飛び込んできた。
反撃
タイミング
頭では分かっても、爆豪の攻撃が防ぎきれない。
「ホラ行くぞ、てめェの大好きな」
右の大振り!!と、爆豪は右フックを緑谷の背後から決めた後、そのまま緑谷の腕を掴んで、ものすごい腕力で型も何もない「力任せ」の一本背負いをした。
「てめェは俺より、下だ!!!」
背中から叩きつけられ、一瞬、衝撃で肺の中から空気が押し出される。
呻きながら、地面を這いつくばって、背を向けて。
それでも、負けたくない、絶対に嫌だという言葉が頭を離れない。
「何で個性使わねぇんだ!」
「俺を舐めてんのか!?」
「ガキの頃からずっとそうやって!」
ーーー違うよ
「俺を舐めてたんかてめェはぁ!!」
腹に響くような爆豪の怒鳴り声。
緑谷は、逃げるのをやめて、自分を見下した目で眺めてくる幼馴染と、睨み合った。
歯を食いしばって、言い返す。
「…君が…凄い人だから、勝ちたいんじゃないか!!」
許容上限以上の爆破を目にしても、及び腰になるどころか、その目に闘志を込めて立ち向かってくる緑谷。
その表情が、眼光が、握られた拳が、緑谷の全てが爆豪を苛立たせる。
「その面やめろやクソナード!!!」
タイマンじゃまだ到底敵わない
でも