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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第65章 クソ可愛い




あっけらかんと挨拶をしてきた向に、緑谷がシャウトする。


「病人が病み上がりに頭振り乱しちゃダメだよ!!?」


顔面蒼白になり向の両肩をガッと掴んだ緑谷に、向は軽く笑って返事を返す。


『もう大丈夫』
「心臓止まるかと思った…なんでそんなに激しくヘドバンしてたの?」
『あぁ、イヤホン買ったんだ』


彼女は自分の耳に着けていた赤いイヤホンを外し、そのイヤーピース部分を指差した。
ぐにぐにとしたクッションになっているそこを指で挟みながら、向はもう片方の手で、隣に立って腹を抱えて笑っている耳郎を指差した。


『なんかイヤホンのサイズ合わないんだけどって相談したら、「そういう時はイヤーピース変えて、ヘドバンしても落ちないのをセットすると良いんだよ」って教わって』
「…だから凄まじいヘドバンを?」
「はーっ…あーお腹痛い、深晴がヘドバンしてるのなんて想像つかないからやらせてみたんだけどさ、まさかそんな全力でやってくれると思わないじゃん!」
『おいそんな理由か。イヤホンジャックハサミで切るよ』
「いやグロッ!?これ飾りじゃないから!」
『そこって触ったら感覚あるの?』
「あるよ、手足動かすのと大して変わんないし」
『へぇー』


むにむにと耳郎のイヤホンジャックを触る向を、耳郎と緑谷が見つめ続ける。
好奇心からか、イヤホンジャックを向が引っ張った。
ぐいーんと伸びたその部位を見て、向はおもむろに片方のイヤホンジャックを玉結びにしようとして、「コラ」と耳郎にチョップされた。


『怒られた…』
「うん、怒られると思ったよ」
『なるほどね…響香のイヤホンをジャックしていいのは彼女のロックなハートをジャックした男だけと言うことか…』
「いや、ということかじゃなくて。誰だって自分の部位玉結びにされそうになってたら怒るわ。つか、私のイヤホンをジャックしたい奴なんているわけないっしょ」
『とか言ってされたいくせに』
「まぁねーしてくれるならされてみたいもんだよね」
『響香ってあれだよね。彼氏と喧嘩して、「もうマジで信じらんない大嫌い!」って言った後に彼氏が「マジ?でも俺は好きだよ!」って言われたらなんでも許しそうだよね』
「何その激アツ展開、クソ可愛い、マジ萌え禿げるんですけど」

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