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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第8章 キミに近づきたい




モニタールームで1組目の戦闘訓練を観戦している他の生徒たちには、一切現場の音声が届いていない。
しかし、映像だけでも爆豪のブチ切れ加減と、彼の行き過ぎた暴力行為は余すところなく伝わってきていた。


「爆豪マジやべぇ」


と呟いた上鳴は、そのあと「俺とじゃなくて本当に良かった…」と合掌しつつ、他人の犠牲の上に成り立つ幸福を隠すことなく喜んだ。


「深晴ちゃん、結局どういう個性なのかしら。この映像だけじゃわからないわ」
「麗日さんも食らいついていますが…あれでは完全に、深晴さんに遊ばれてしまっているようなものですわ」


ケロ、と呟いて、蛙吹が首を傾げる。
八百万のコメントを聞いて、たまに小さくリアクションを取りながら観戦していた切島が声を発した。


「このまま敵側が逃げ切って終了か?爆豪が暴れまわってるだけで、向たちはあんま戦闘してないな」
「向の太ももの戦闘力はマジ強ぇんだけどな…」
「太ももなー……うん、いいよな」
「いい」
「なんかこう、柔らかそうっ…て峰田ざけんな!!」


ガキィンと硬化した切島が容赦なく峰田の頭にツッコミを入れる。
ビェエ、と泣く峰田に追い打ちをかけるように、蛙吹が舌を伸ばして頭をどついた。


「…見つかったな」
「うわっ、緑谷逃げろ!」
「逃げるわけにいかねぇだろ。もうこの布陣しかあいつらに勝ち目は残されてねぇ」


爆豪をじっと観察していた轟が、少しも表情を変えることなく呟いた。


(…多分緑谷はもう向の個性に検討がついてる。だからこそ「自分と触れたものに限り個性の使用を許可」って条件下じゃ向に相性の悪い麗日を行かせたんだろう。…それでも向が周りに飛び道具になる物を残しておけば、まだ牽制に使えたろうに)


キレ者かと思ってたが、案外抜けてんな。
そう結論づけても、なぜか轟の胸には違和感が残る。


(…なんだ?なんでこんなにひっかかる)


理由を考えようと、視線を5階フロアのカメラに向けようとした時。


「爆豪少年ストップだ!」


唯一、音声を聞いていたオールマイトが、突如マイクを使って爆豪に呼びかける。
轟が爆豪に目をやった次の瞬間。
彼の籠手から直線上に伸びる眩しいほどの爆炎が、緑谷目掛けて放たれた。


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