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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第55章 友達リクエスト




「ねー今度の土曜、もんじゃ食べに行かない?」
「おぉーアリ!電気も行くっしょ?」
「行く行く!いいじゃんもんじゃ!」


中学時代。
俺のいつメンは、幼稚園からの幼馴染二人。
登下校もいつも一緒。
男二人、女一人。
少女漫画でよく見る修羅場設定。
けど俺は別にその女の幼馴染が好きなわけじゃなかったから、彼女を奪い合って三人の仲が荒れるとか、そんなことにはならなかった。
もう一人の男の幼馴染は、その彼女のことが好きだった。
そこで彼女が俺を好きだったら、それはもうなかなかの泥沼だったかもしれないけど。
特にそんなこともなく。
中学1年の夏。
二人の想いは見事成就し、このままいけば俺が結婚式のスピーチ役かもな、なんてふざけて話すくらいには、お似合いのカップルとなった。


「電気、おまえバカなのにスピーチ暗記できんの?」
「いやマジムリ。カンペ出しといて!新郎席から」
「なんで俺が脇役になってんだ、ぜってぇヤダ」
「じゃあ壁に弾幕かけといて、読むから」
「そこは暗記しろや、アホでも頑張れ!」


バカだのアホだの言われてたのは、今も中学も変わらない。
幼馴染二人は俺より頭が切れて、口が達者で。
それでも友達だった。
二人が付き合ってからも、俺たちはいつも一緒だった。


「ねぇ、電気さー」
「ん?どした」
「…ううん、なんでもなーい」
「なんだよ?」
「ううんー」


男の方の幼馴染といつものようにじゃれ合っていると、彼女がそんな事を言ってきた。
なんでもないなら、黙ってりゃいいのに。
今ちょうど話のオチに入るところだったのに。


「ねぇーもんじゃやっぱり別の日にしない?私土曜日予定入っちゃった」
「いーよ!でも確か、電気日曜予定あるんだろ?そしたらまた来週だな」
「えーでも来週は遠いじゃん。電気日曜空けられないの?」
「あー別にずらせっけどさ…ちょっと他の奴らと遊ぶ予定だから、そいつらに聞いてみるわ!」
「ありがとー電気!」


馬鹿正直に、自分の予定をずらして。
また彼女に報告した。


「俺の予定土曜にずらしたから、もんじゃは日曜でも大丈夫!」
「……ほんとにー?そっかー、でもさー」


そう言って、また黙り込む彼女に。


「…ん?どした?」


なんて、聞いてみたけど。


「……なんでもなーい」


そう言って、彼女は笑った。

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