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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第50章 警察のお世話にはなりたくない




昨日送ったメッセージの返事は、次の日の夕方になっても来ないまま。
そんなにチラチラと携帯を見る現代っ子タイプでもないのだが、職業体験でお世話になっている任侠ヒーロー、フォースカインドに殴られて、ようやく自分がロッカーに向かう度、一目散にスマホを手にとっていることに気づいた。


「うぉ…っすんません!とっとと着替えます!!」
「なんだ切島、怖いオカンからメッセージでも来てたか?」
「いや、オカンじゃねぇよ。…逆に来てなさすぎて気になるっつーか…」
「とっとと着替えろ!夜のパトロール、置いてかれたいのか!?」
「「着替えます!!!」」


(…なんだよ、いっつもその日のうちに返信返してくれるのに)


昨日の夜。
勇気を出して、彼女を映画に誘って。
それから一切、既読も返信も返っては来ない。
ちょっと悲しく感じながらも、いやいやと首を横に振り、気持ちを持ち直した。


(……忙しいだけだろ、こんなタイミングで映画の誘いって意味わかんねーじゃん。みんな頑張ってる最中なのに…)


鉄哲と並んでコスチュームに着替えながら、自分の中でメッセージが返って来ないことに対して理由づけをした。


(…あ、二人でってのがまずいなら…爆豪と、上鳴もって付け足すか?いや、でも爆豪とか映画観た後に「あ?どこに泣く要素があんだよ」とか言ってきそうだし上鳴に至っては「もうマジ良かった、マジ最高」ぐらいしか言わなさそう。ぜってぇそうだ!絶対やだ!)


恐らくマッチ売りの少女と出くわしたとしても「邪魔だどけや」としか言いそうにない友人と、「え?マッチ?マッチはいらないけど俺とお茶せん?」なんて言い出しかねない感受性と理性が腐り落ちている二人の友人に、彼女と初めて映画を観た余韻をぶち壊されたくはない。
けれど、誘わなければ彼女と映画を観に行く話すらなくなってしまいそうだ。
二人が叶わないなら四人ででも。
ふと、思った。


(……あれ。なら、あの二人じゃなくてもっと語彙力あって…映画の感想とか話せそうな奴誘えば良いんじゃ…)


今日の出動は夕方から。
ようやくコスチュームに着替え、ロッカーを閉めようとした時。
切島のスマホがポケットの中で振動し、バッと飛びつくようにスマホを見た。


「……え?」


珍しい相手からのメール。
切島はそれを開き、ハッとしてフォースカインドに駆け寄った。

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