第46章 公私混同etc
(……。)
窓に映った自分を見て思う。
小汚い。
かっこ悪い。
甲斐性のない、情けない自分。
こんな姿の教師に深晴が心を奪われているなんて、深晴を想う生徒たちが知ったら、さぞ残念がることだろう。
自分がそうだった。
だから知らないふりはできない。
それでも
愛されていたい。
これからも愛していてほしい。
自分以外に相応しい相手がいたとしても譲りたくない。
誰の元へも手放したくない。
自分が深晴に不釣り合いなのはわかっている。
年齢だって、持って生まれた個性だって歪で不相応。
情けない自分が尚更情けなく、日に日に強欲になっていく。
要らない物ばかりのこの世界で、一つだけ与えられるものがあるとしたら、それは深晴であってほしい、深晴でなくてはならない。
泣きたいほどに苦しい。
まるで底のない水に溺れ続けているように息がしづらい。
なにより
深晴が気づいていなくとも
未来のある深晴にとって、自分が代わりのきく1人でしかないという揺るぎのない事実が存在していることが、ひどく悲しい
午後の授業が始まるチャイムが聞こえる。
相澤は1人、誰もいない廊下に立ち尽くし。
学生時代の放課後も、教師になった今でさえ。
放課後、途方にくれて立ち尽くしている窓から外を眺めた。
そして、一言。
「……授業」
そう呟いて、また歩き始めた。