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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第45章 らしい名前をつけましょう




夕方から崩れ始めた空模様。
夜が更けても、横殴りの雨は強くなったり穏やかになったりと不安定なまま。
キッチンに立って物思いに耽る向の耳に、無数の雫が窓にぶつかる音が聞こえ続けている。


「深晴」


不意に、名前を呼ばれて我に帰った。
リビングの入り口に目をやると、少しだけ身体を濡らした相澤が立っていた。


『…あっ、ごめん扉の音聞こえなかった。おかえりなさい、まだ天気酷い?』
「ただいま。怪我は?」
『ひどくなってないし、明日病院行かなくて大丈夫だと思う』
「ダメだ、遅刻して病院行け」


向のもとへ近づいてきた相澤が、彼女の前髪に軽く触れた。


「……警察から話は聞いた。しばらく出歩くのは控えろ」
『えっ、ネットニュース載ったから?』
「違う。…雄英生だから狙われたのか、無差別なのか、それとも体育祭か何かでおまえを知った誰かの仕業か…不明確な部分が多い。用心に越したことはない」


見下ろしてくる相澤の視線に、向が何かを口ごもり、ふっと目を逸らした。


『…タオル、持ってくるね』
「いい、車から降りた一瞬濡れただけだよ」


着替えてくる、とリビングから出て行った彼を見送る。
向はローテーブルに置いてある彼女の携帯が、メッセージを受信した通知音を聞いた。


『…!』










焦凍<怪我、悪化してねぇか?心配になった>22:28
深晴<してないよ、大丈夫。ありがと>22:29
焦凍<なら、良かった。また何かに巻き込まれる可能性もないわけじゃねぇ、明日から一緒に登校する>22:29
深晴<えっ、大丈夫だよそんな。私も気をつけるから>22:29
焦凍<明日の朝は病院行くんだろ?なら明後日からだな>22:29
深晴<話聞く気まつたけないね!?>22:29
焦凍<…?>22:30
焦凍<松茸は時期じゃねぇよ>22:30
深晴<打ち間違えた>22:30
焦凍<口実にしてぇだけだ>22:30








焦凍<おまえと、少しでも一緒にいたい>22:31










(………なんて、返そうか)

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