第39章 応答
「気持ち悪い、無理、働きたくない働かない」
「働けクズ」
「ノーーーーーー!!!」
「『うるさい』」
現時刻は7時00分。
真っ青な顔のまま起きてきたマイクは、ダイニングテーブルに座り、目の前に並んだ3人前の朝食を見て口を押さえた。
「オイ、吐いたらもう二度と家にあげないからな」
「……なに、吐かなかったらまた飲んでくれんの?」
「飲まねえよ」
「じゃあ吐いてもよくない…?」
「黙って食え」
『バケツ持ってきますか?』
「おぉおおお……味噌汁飲みてぇけど飲みたくな……うっぷ」
ドタバタと慌ただしくトイレへ駆け込んで行ったマイクを見て、向がクスクスと笑った。
相澤はそんな彼女をじっと見つめて、「ったく…」と呟きながら、食事を続けた。
「…珍しい服着てるな」
『え?あぁ、うん。昨日買ってきた』
「おまえの趣味か?」
『ううん』
「………………」
『………………』
「……爆豪のか」
『げほっ、ごほ!』
(察しが良い…!)
(分かりやすい)
向は咳き込み、せっかくの朝食を味わうことなく慌てて飲み込んでしまった。
対して相澤は至極冷静に。
彼女の様子を冷めた目で眺めたまま、熱いコーヒーに口をつけた。
「熱っ」
『………。』
(かわいい)
(恥ずい…!)
それぞれ好き勝手なことを真顔で考えながら、食事を続けていると、ゾンビのように床を這いずるマイクが再び現れた。
「イレイザーさんお願いが…」
「俺より後に家を出ることは許さねえよ。遅刻連絡を請け負いもしない、とっとと出てけ」
「ちょっと、可愛い娘さんのベット一晩中占領してたからってそんな扱いあんまりだろ!!」
「それとこれとは関係ねえよ。娘でもねえ」
「鬼ーーー!!!」
「『うるさい酔っ払い』」
「向レスキュー!!ヘーールプーミー!!俺をここで休ませて!!」
『私もこれから出かけるんですよ。昼前に出ないと』
「ならそれまで置いてくれたってよくない!?なんでそんな追い出すの!?」
『いや、教師陣は今日から仕事でしょう。まだ水曜日ですよ、一週間はあと3日あります』
「いいよなぁ子どもは休むか勉強かどっちかしてりゃいいんだもんな……」
「早く食え」
「ごめん食えない、吐いちゃう、入れたと同時に吐いちゃう」