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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第22章 身を立て名を上げ、やよ励めよ




「…レシプロ…ッバースト!!」


何をしたって、きっとこのバトルの結末は見えている。
全ての力を反射するベクトル変換の彼女と、駆け回ってその操作から逃れることしかできない僕。


<<ここで、飯田の切り札高速移動だー!!あいも変わらずジェントルメェン!また背後を取り場外へと押し出す!!さぁどうする向、また反射で弾くか!?>>


『…天哉』
「!」


彼女は場外ギリギリのラインで踏みとどまり、僕の体操着の襟元と、肩に触れていた腕を掴んで、一本背負いをした。





















『私はいつだって、大切な人からの視線に執着してるよ』



















そう囁く彼女と、視線を交差させながら。
僕の身体は場外へと投げ出され、背中から叩きつけられた。


「飯田くん場外!向さん、二回戦進出!」


ワッと湧く観衆の声を聞きながら。
僕は痛む身体に顔を歪ませた。


『天哉』


少し申し訳なさそうな顔で、僕に手を伸ばしてきた向くんの手を見つめる。
なぜか震えているその手を眺めて、数秒。
僕は地面から起き上がることなく、また彼女を見上げ、言葉を選んだ。


「…これで、君に見てもらえなくなるのが残念だ」


そんなセリフを言われるとは思ってもみなかったのか、彼女が一瞬だけ目を丸くした。


「なぜ俺を見るのがちょっとだけ嫌なんだ?」
『いや、ただふざけて言っただけだよ』
「嘘なのか…笑えない冗談はよしてくれ」
『笑えなかった?』
「笑えない。だって……」
















「……俺の言葉は、冗談なんかじゃないのだから」



















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