第18章 ずっとかさぶたのまま
男らしいまでに男らしい飯田くんのアプローチ。
それを聞いて、僕、麗日さん、上鳴くん、八百万さんが赤面し、揃って叫び声をあげた。
「「「「キャーーー!!!」」」」
「うぉおお委員長マジやべえ、マジなんなん!?」
「い、飯田さん…まさか、大胆ですわ…!」
「飯田くん!!あーっ負けたくない!でもうち飯田くん応援したい!!どうしよデクくん!!!」
「飯田くんってそうだったの…?全然僕知らなかった…!」
「ん?」
周囲の反応に気づいた飯田くんが、いつものように腕を縦振りしながら猛抗議してきた。
「皆!盗み聞きは良くないぞ!君たち、ヒーロー志望だろう!」
「盗み聞くまでもねぇ距離で口説いてっからだろ!!マジないわ委員長!!!」
「何がないんだ上鳴くん?僕たちは今、優劣を争う場に立っているんだ。自分をアピールする場として、これ以上適した場面はないだろう!」
「いやいくらでもあるわ!!アピールしていいのは観客にだけ!選手にアピールする場じゃないのっ適してないのっ!もっと真面目にやれや!!!」
まさか、不真面目代表の上鳴くんに飯田くんが「真面目にやれ」と言われる日が来ようとは。
混乱したままだった僕は我に返り、ジタバタとしている麗日さんと、キョトンとしたままの向さんに向き直った。
「二人とも!もう一人、僕らの騎馬を探しに行こう!!」
「あぁそうだった!飯田くんずるい!深晴ちゃんを競技に集中できなくするなんて妨害行為だよ!?」
「ずるいとは何だ!俺はただ爆豪くんに差をつけられるのは「委員長黙って!黙りなさいもう!!」
『天哉、ちょっと今それどころじゃない』
「正論!!深晴まさかの正論ぶちかました!!」
至極真顔な向さんと。
至極真顔な飯田くんが見つめ合う。
「うむ、それもそうだな!」
「あっさり!委員長お前何したいの!?」
お互い頑張ろう!
と雑に意見をまとめた向さんは、飯田くんにハイタッチを求めた。
あぁ!
と返事をしてそれに応えた飯田くんに、そんな扱いで良いのかと問い詰めたくなる気持ちを堪え、僕は周囲を見渡した。
(皆もう固まっちゃってるか…!?ええいそこはいい!僕らの騎馬に足りない力…それを補えるのはーー)
そして、僕は一人の生徒に目を止めた。
「…君だ!」