第11章 教育実習の時間
そう言って物品室を出ていく。
学秀が出て行って数分後、私が物品室を出ると、そこにはもう誰もいなかった。
翌日、何事もなかったように西川先生は教育実習を終えた。
私は、あれから何日も考えた。
けど、何度考えても、答えは一緒だった。
放課後、学秀を裏庭に呼び出す。
『来てくれてありがとう。』
学秀『どんな返事でも、僕はまぁの意見を尊重する。』
『うん…。私ね、やっぱり理事長先生が好きなの。
だから、学秀とは付き合えない。
ありがとう。こんな私を好きになってくれて。』
学秀『…そうか。父に、気持ちは伝えたのか?』
『まだ…。でも、ちゃんと伝える。そして、ちゃんと振られる。これが私自身が決めたことだから。』
学秀『……。振られる…か。では、僕は帰る。
返事を聞かせてくれて…ありがとう。』
私は学秀の姿が見えなくなると、スマホを取り出す。
理事長先生へ
会いたいです。2人きりで。
すぐに返信が来る。
理事長室で待っています。
コンコンッ…。
『どうぞ…』
『失礼します。』
中に入ると、理事長先生は椅子に腰掛け静かに私を見据えている。