第11章 教育実習の時間
気が着くと、私は保健室にいた。
保健の先生が、理事長先生が倒れた私を運んでくれたと言っていた。
私は、お礼を言って保健室を後にする。
あれから数日ーー。
気を失う寸前にきいたあの言葉は本当だったのか?
あれから理事長先生と授業以外で会う事もなければ連絡もない。
授業中も、いち生徒として名前を呼ばれたりする以外は、もちろん下の名前で呼ばれることもない。
ガラッー。
理事長先生が教室に入ってきた。
学峯『おはようございます。朝のホームルームを始めます。
まず始めに、皆さんの先輩にあたり、私の教え子にもなる教育実習生の方を紹介します。
では、入ってきて下さい。』
『西川ゆいです!みなさん、本日から2週間、よろしくお願いします!』
ショートカットで元気いっぱいに挨拶した先生は、持ち前の明るさですぐに私たち生徒と打ち解けた。
西川『では、桃色さん、次の文章を読んで下さい。』
『はいっ!』
キーンコーンカーンコーン…
ひなの『西川先生、いい人だね!お昼一緒に誘っちゃおっか!』
『うんっ!そうしよー!』
ひなの『西川先生ー!お昼一緒に食べようよー!』
西川『もちろんッ!』
3人で裏庭のベンチに座る。
ひなの『ねぇ、先生、理事長先生って昔からあんな感じなの?』
西川『それがね…ほんっと変わってないからびっくりしちゃった!』
『そうなんだ。』
西川『私、あこがれなんだ。学峯先生が。
あっ!私が下の名前で呼んでるって内緒ね!』
トクンッ…何故か私の胸にチクリと痛みが走った。