第8章 家庭訪問の時間
家庭訪問当日ーー。
ピーンポーン。
『はい…。』
ドアを開けると理事長先生が『お待たせしました。』と言って立っていた。
トクン……鼓動が跳ね上がる。
『どうぞ…』
そう言って室内に招き入れる。
学峯『ここが桃色さんの家ですか。』そう言うと、私に小さな小包を渡す。
『これは?』
学峯『プリンです。
偶然来る途中に通りかかったのでね。他の生徒たちには内緒ですよ。』
『あ、ありがとうございます。』
素直に嬉しかった…。私だけ…特別に。
身構えていた私とは裏腹に、今後の進路の事を話すだけの理事長先生は、あっさりと帰ろうとする。
『あの……。プリン、ありがとうございました。
今度、お礼させて下さい。』
そう言うと、一瞬驚いた顔をした理事長先生は、『考えておきます。では、また学校で。』
と言い、帰って行った。