第1章 プロローグ
それは、新選組副局長である土方歳三に届いた一通の手紙により始まった物語だった。
その手紙について話しの場を設けるため、広間には新選組の幹部の面々が集められていた。
隊士によって出されたお茶を一口飲み込むと、話が始められた。
「今日、俺の妹がこっちに来ることになった。ここで預かることになる。」
「お!?女の子がくるのか!?」
「こんな男所帯に大丈夫か?」
「どうかな?平助、新八さん。土方さんの妹だから、結構強い子かもね。」
新選組は、何せ男しかいない。
そんな中心配する藤堂平助と永倉新八だったが、沖田総司は土方を茶化すようにクスッと笑っていった。
「土方さんの妹であれば、美人であると思うが?」
「それも一理あるな。」
総司に反対した意見を言うのは斉藤一と原田佐之助だった。
「あー。私情で悪いが、今回ばかりは職権乱用させてもらうぜ。俺の妹に手を出したやつは切腹してもらう。」
「「「「!!!!????」」」」
「たっ、たのもー…っ」
土方の言葉にしんと静まり返った中、言葉に似合わず弱々しい声が屯所に響いた。
「来たか。源さん頼めるか?」
「あいよ。」
土方は、幹部の一人に出迎えを頼んだ。源さんと呼ばれたその人は幹部の中でも特に優しい雰囲気を纏っていた。
源さんが出ていき彼女が来る間、誰もが気付いていた。
土方は、妹を溺愛しすぎている、と。