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サボテンの花

第1章 あなたがいない時でも


「何かあった・・・?」













出来るだけ笑顔で聞いてみる。何かあっても言わないのが健くん。












「んーん。何も。」











そうは言ってるけどすぐ顔に出ちゃうのが健くん。












ソファに座ってサンドイッチらしきものを食べてる。











「・・・じゃぁ・・・私、帰るね。」












今は邪魔しちゃいけない、なんとなくそんな気がして、笑顔でそう告げると荷物を持った。











特に何も言わない健くんを背に歩き出す。玄関でブーツを履こうとしたら













ぎゅっ










「きゃっ!!」













突然健くんに後ろから抱きしめられる。











思わず持っていたバッグが落ちて中身が散乱する。














「け・・・健くん・・・?」













「・・・久しぶりに逢ったのにさ・・・。逢いたかったのって俺だけ・・・?」












やっぱりこの人は天邪鬼だ。













逢いたい素振りなんて全然見せないくせに。











メールだって素っ気ないくせに。










逢いたかったなんてたった一言で、私は嬉しくてたまらなくなる。











「私も・・・ずっと逢いたかったよ・・・」













やっと解かれた腕を、振り返って遠慮気味に掴む。











もこもこしてる。












「・・・ごめんね?」













「え・・・?」













「なかなか逢えなくて・・・。」













健くんの胸元に抱き付くとしっかりと背中に手が回され、もう片方の手が私の髪を撫でる。










「好きだよ・・・」












健くんは、天邪鬼で、その上ずるい。好きだよなんてたった一言で、私がどれだけ浮かれるか知ってるくせに。












「私も・・・」













健くんの胸に顔を埋めながら呟く。










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