第1章 あなたがいない時でも
舞台の公演が迫り、いつも以上に忙しい日々。
私は健くんと全く逢えずにいた。
カーテンを開けるととってもいい天気。
健くんはずっと忙しくしてるから、健くんの家の植物たちはきっと太陽を浴びていない。
ふと思い立って、健くんの家に向かった。
マンションのエントランスまで来てチャイムを鳴らしてみるけど・・・———
やっぱりいないよね。
仕方なく合い鍵を持って健くんの部屋へ向かう。
ガチャ。
「おじゃましまーっすっと・・・。」
ちょこちょこ帰って来てるんだなぁ~・・・相変わらず綺麗な部屋。
植物たちの様子を見に行く。
大体がサボテンだから、そんなに影響はないけど、なんだかイエローパンプキンちゃんの元気がない・・・。
健くんのおうちにある植物たち。全部外に出すとなると結構な大仕事。
それでも健くんに笑って欲しくて、私はせっせとお部屋の子たちをベランダに出す。
「ふー。」
全部並べると圧巻。太陽を浴びて心なしか嬉しそう。
健くんの笑顔を思い出して私もなんとなく笑顔になる。
私がいなくても、健くんの事を笑顔にしてあげてね。
そんな思いでベランダを眺めていた。
「!」
「え・・・?」
驚いて振り返ると、マスクにモフモフ衣装の健くんが立っていた。
私が戸惑っていると健くんが近づいてきて、ベランダを見渡す。
「これが出してくれたの?」
「うん、なんか元気なかったし、いいお天気だったから。」
「そっか・・・ありがと。」
「うん・・・?」
ありがとうと言ってる割になんだか元気がない。