第8章 おれのもの
だって俺にするものはそんな生易しいキスじゃない
毎回、唇が食い尽くされるのかと思うほどの気持ちのこもったキスをくれる
何度か食(は)むような激しいキスを繰り返したら唇の隙間から舌が入ってきて自分の舌が口内で絡め取られる
最後、口を離す前に上顎を舌でなぞられて………
脳内再生されたものに急に体が熱くなってきた
「朝からなに考えてんだ、もう…っ」
ふるふると頭を左右に振って思い出されたものを消そうとする
体の熱はそれだけでは全く引かなくて
「頭冷やしてこよ…」
ドラマを一時停止させて、バスルームへと移動した
頭から水を被って熱を逃がそうとするけど、一度湧き上がった欲はなかなか引かない
欲求不満、なのかな…
そういえばここ数日、潤に触れられてない
さっきの映像が脳内を掠める
ドラマの中の潤は相手を求めていた
「俺も、潤に求められたいな…」
バスルームの壁に背を預けて自身にそっと指を這わせる
目を閉じてゆるゆると上下に動かす
潤はいつも、優しく手で包み込んで…
記憶を辿りながら潤にされてるようにしてみる
シャワーの水音に混じって自身から溢れるしずくの音も微かに聞こえて鼓膜を刺激して熱の解放を促していく
「あ、あっ、はぁ…じゅんっ……じゅっ……」
「なぁに?♡」
急に聞こえた声の方に目を向けるとバスルームの扉に手を掛けてニヤニヤ笑っている潤がいた