第7章 hands
タクシー……
「タクシーって選択肢思いつかなかった!」
翔くんの顔を見てそういうと、くしゃっと崩れた彼の表情
「まだ抜けてないんだな、ケチ癖(笑)」
「そこは倹約癖って言ってくれるー!?」
抱きつく翔くんの体が笑いで大きく上下する
「ふふふっ…ごめんごめん…そうだよな、倹約癖だよな……ふふっ」
「ちょっとー!バカにしてんでしょっ?」
「してない、してないっ…ふふ、あははっ…」
もう!そんなに笑わなくてもいいのに〜っ
笑って揺れる脇腹をギュッと抓る
「いてっ!なにすんだよ〜!仕返しだぁっ!」
ガバッと起き上がって俺の上に来た翔くんが脇腹をくすぐり始めた
「や、やっ…あは、ダメダメっ…くすぐったい〜!」
「抓ったオシオキ〜!」
脇腹をわさわさと動き回る翔くんの手
翔くんの手は幸せだけを与えてくれる
笑ってると上から見下ろす翔くんが穏やかな顔で俺を見つめていた
「翔くん…?」
「…俺は、そうやって笑ってるかずが好きだよ」
脇腹にあった手が優しく髪の毛を撫でる
「悲しいことがあっても、辛いことがあっても…俺が笑顔にしてあげる」
「うん…翔くんで俺を笑顔にして?」
俺の言葉のあとに長めの優しいキスが降って来る
離れた唇を惜しむかのように額にお互いのを重ねたまま軽く微笑むとさっきと同じように腕枕をしてくれる翔くん
安堵した俺は優しい彼の腕の中に包まれて、俺に幸せをくれる手を握って眠りについた
- end -