第7章 hands
- 櫻井 side -
切羽詰まった表情で迫ってきたかずにベッドに押し倒された
「ちょ、かず…っ…」
「翔くんが俺に優しいのはわかってるよっ!?わかってるけど…っ…今優しくしないでよっ…そっちの方が、辛いよっ!」
痴漢されて、傷ついたかずに今そういうことをするのは逆効果かと思って優しく寝かせようとしていた俺の気持ちはかずにちゃんと伝わってはいたみたいだ
だけどそれが逆にかずに辛い思いをさせたなんて…
馬乗りになってるかずが眉間にしわを寄せて少し潤んだ瞳で俺を見下ろす
その表情から嫌な記憶を必死に消したくても消せないもどかしさが伝わってきて……
「ごめん……そんな顔するなよ…俺が…忘れさせてやる…」
そう告げたら少し嬉しそうに微笑んだ
腕を引いて上下入れ替えかずをシーツに沈めると首元に腕が絡められる
「早く…翔くんでいっぱいにして…っ…」
「っ、ん…っ」
強請るように何度も何度も触れる唇と唇
触れるだけのそれを繰り返す唇の隙間を縫って舌を滑り込ませると口内ですぐにかずからそれを絡ませてきた
絡まっていたものが離れるとスッとお互いの間で引いた銀の糸
糸の先にある恍惚な表情のかずに見惚れていると
「しょ、くん…っ…触って…?」
シーツについていた手を掴まれて体へと導かれた