第26章 Rush around
「…なにしてんの?」
肌寒くなって個室に戻ると
いるはずの智くんとかずの姿の代わりに
見慣れない店員さんと手を握る潤がいて
俺の声に少年のように小柄な店員さんは
慌てた様子で立ち去っていった
「ち、違うぞ?翔っ…?
俺ナンパしてたんじゃねーからなっ?」
隣に腰掛けた俺に慌てて弁明してくる
「どうだか…雅紀の件もあったんだし?」
ビールに手を伸ばして一口飲んだら
ムカつくほどのにたり顔が俺を見つめてて
「ヤキモチ妬いてる翔って…可愛いよな💜」
こいつ…っ
調子のんじゃねぇっ!
そっと肩に置かれた手を軽くつねった
「いて…怒んなよ、翔〜…
ほんとにさっきのは違うって!
涼介から声掛けてきた…」
「名前呼びかよ…」
「ここの店員、みんなネームプレート
下の名前じゃんよ…」
「……」
黙って、そっぽを向く
「ほんとに!俺これからは翔一筋だからっ」
背けていた顔にそっと手が伸びてきて
優しく逆に戻される
ゆっくり、近づいてくる唇…
「あ、ちょ…っ」
「わ、わっ!」
唇が触れる間際、
ガタガタと個室の扉が揺れて
慌ててそちらに視線を送ると
隙間からこちらをそっと覗く智くんとかず