第26章 Rush around
- 櫻井 side -
「今日も、潤はこねぇのかな…?」
いつもの個室
定例の男子会なのに揃っていたのは
智くんとかずだけで
2人が顔を見合わせた
「…さ、さぁ」
「わかんないけど…連絡ないから、
そうかもしれないね」
あの日、智くんに促されて送ったLINEすら
返事がない
既読にはなってたけど、
いつもならどんなに忙しくても
時間を置いてでも返事をしてたあの潤が、
あのマメな性格の潤が
連絡を返さない
そして必ず参加してた男子会も
もう2回も不参加…
喉の奥に突き刺さった
魚の骨が気になるように
何かが引っかかる
「俺…潤に嫌われたかな」
「そんなこと…ないよ」
「…だといい……けど、さ……」
かずの優しいフォローが身に染みる
きちんと会って話をしたい、と伝えただけなのにな…
「翔…?」
「…うん?」
「大丈夫か?」
「…何…?」
「顔…泣きそうな顔してる」
智くんに視線を向けると
正面にあるガラス戸に映る俺の顔は
情けないほど眉毛が下がってて
「…大丈夫」
胸の奥に感じる軽い痛みを誤魔化す
「元気出して?潤くんきっと、
本当に忙しいだけだよ?」
「ありがと、かず…」
「ほら、飲め飲めっ」