第26章 Rush around
- 櫻井 side -
通い慣れ始めた居酒屋に着くと
いつもの個室に通されて1人腰掛ける
初夏の訪れを知らせる前に来た夏日の暑さで
篭る熱を逃がすためにネクタイを緩めた時、
小さな音を立てて扉が開いた
「お疲れぃ〜♪」
「お疲れさま、翔くん♪」
やけに嬉しそうな幼なじみ、智くんとかずが現れた
いつもならもう1人…招集かけるんだけど、
今日は定期的なものとは違う、緊急男子会
主催者は、俺
手始めのビールが来て、
軽く乾杯をして喉を潤す
「なんだよ?急に呼び出して」
喉を潤しても何も話さない俺の代わりに
智くんが静かな空間に言葉を投げ掛けた
もじもじ…柄にもなく人差し指で
手元を弄るけど
…言葉にしにくいっつーかなんつーか。
ジョッキに滴る雫を
指で掬ったあと、目を伏せながら
組んだ手の上に顎を乗せた
「黙ってたらわかんねーだろ?
なんだよ、俺たちに相談って?」
「さとぼ〜…だめだよ、そんなに急かしたら」
「だって〜…」
「ちょ…/////どこ触って…」
「かずちゃんが可愛いんだもん、仕方ない♪」
「仕方ないって…ちょ、っとぉ…///」
2人の声に下ろした瞼を上げると
首筋を撫でたり、
耳朶をもにもにしたりする智くんと
それを嫌がる素振りを見せながらも
楽しんでる感じのかず
いいよな、悩みなさそうで…
ふぅ、と1つため息をついて
緊急招集の本題を口にする