第23章 君がいいんだ
口付けをほどいて
シャツのボタンをゆっくり外す
緊張とか嬉しいとか
いろんな迅る気持ちから指先が少し震える
晒した細い体に薄くついた筋肉がとても綺麗で
喉仏が自然と上下した
薄暗い中微かな月光りで見える
滑らかそうな肌に唇を寄せて触れる
ピク、と微かに揺れた首筋
そこに吸い付くと赤い痕が綺麗についた
「…っ、ん……」
頭の上でくぐもった声
見上げると目をキツく閉じて手の甲で口を押さえてる
「智くん……?」
手首を掴んでゆっくり口元から外すと指先が震えてた
「無理、してる…?」
「してない…」
「じゃあ…怖い…?」
「…怖くはない……
嬉しいとか、恥ずかしいとか…
緊張、とか…色々で……
わけ…わかんない…」
僕も、一緒…
ふっ、てちっさく息を吐いて少し落ち着かせて
その手をゆっくり胸元に持ってくる
心臓の前に添えさせると指先の震えが止まった
「…あ……雅紀さんも、ドキドキ…して…?」
「…うん」
安心したのか大きく見開いてた目が細められる
その目にはじわりと涙が少し湧き上がってきてた
「僕も…初めて、っていう緊張とか…
愛しいとかで、ドキドキしてるから…
大丈夫だよ…」
「うん…うん……」
《雅紀さん…好き…》
完全に溢れた涙がポロポロ流れていくのを親指で綺麗に拭う
「僕も大好き……大事にする……
もし痛かったりしたら…
我慢せずに教えてね…?」
「……」
《……》
「ちょっと〜…そこは黙らないで?」
止まった涙の残りを舌で舐めとって
額をコツンと重ねてまっすぐ見つめてお願いする
「…わかった…でも、やめちゃ、やだからね…」
「…それは…やめられそうにないから、
いらない心配だよ…」
さっきから反応している自身を
わざと腿に擦り付けると
智くんは困ったような照れたような
複雑な顔を一回してからクスッと笑ってくれた