第22章 お山夫婦の1日
「智くん…疲れたなら後ろのシート、フルフラットにできるから寝ていいよ?」
朝早くから釣りするのわかってたからデカいワンボックスカーをレンタルしてきて正解だったな
今にも眠りそうなゆるゆるの顔をした智くんが荷物を積み終えたのを見て後ろのスライドドアを開けてシートを倒していく
全部綺麗にフラットになった瞬間
「えっ…?智くん…っ?」
背中に感じるぬくもり
後ろからぎゅって包み込まれて
「帰る前にさ…イチャイチャしよ…?」
耳元で嬉しそうな声がしてスライドドアが閉められた
静まり返った車内でむぎゅって力一杯抱きしめてくる
俺を掻き抱く手が優しく撫でてくれたかと思ったらぐるん、と世界が回って
「翔くん……」
驚く俺の唇に温かくて柔らかいものが重なって
すぐに甘い感覚だけが体を包んでいく
「ん、んふ…う、んぅ」
さっき物足りないと感じた俺の気持ちを埋めてくれるかのように深くて長い口づけ…
くらりと酔いしれるほどに深くなっていく
「いいよね、翔くん……」
「だ、だめ、だよ…っ、ここ外…っ、あん」
本当は嫌じゃない、だけど。
理性が働いて止めるけど体の上を這っていく綺麗な指
雄(おす)の表情の恋人
「…もう、待てない」
再び浸透していく深い口づけと甘い刺激に
一度は止めた理性を手放した