第19章 『あなたに夢中』
- 2日後 -
「お、遅れてごめんっ」
「いいよ〜昨日も付き合いで遅かったんでしょ?」
待ち合わせ場所に30分も遅刻した俺を怒るでもなく、カズはニコニコしてる
内心、また怒られるか拗ねられるかと思っていたのに拍子抜けだ
「なに、俺の顔に何かついてる?」
「あ、いや…」
「それより、ほら!行くよ〜」
「行くって…どこに?」
すぐ近くの路面駐車場にあるカズの車に乗り込むとすぐに発進し始めた
「着くまでのお楽しみ〜」
高いビルが立ち並ぶ中、車は進んで行く
徐々に見慣れた景色から離れて行く
ビルの群れを抜けると照りつける暑い日差しをガラス越しに感じてサングラスを掛ける
しばらくして高速の入り口が見えてきた
「もしかして高速乗るの?」
「うん、ちょっと遠出〜」
どこ連れてかれるんだろう…
高速入り口手前の信号で車が止まる
「潤くん、後ろの足元にあるクーラーボックスにペットボトル入ってるから取ってくれる?」
カズの言葉に手を伸ばしてボトルを取り出して渡す
「俺も、貰っていい?」
「もちろん、どうぞ♪」
ミネラルウォーターがあったからそれを一口飲むと
「あと2時間ほど走るから、疲れてたら寝てていいよ?」
「え、そんなにまだ走るの?俺変わろうか?」
信号が青に変わって走り出した
「いいよ、今日は潤くんを癒すための1日なんだから気にしないで?」
「でも…」
「いいから、いいから…」
高速のゲートをくぐると車は一気に加速して行く
もうこうなってしまっては変わろうにも変われないし…
諦めて任せていると昨夜飲みすぎたからか、しばらくして睡魔に誘(いざな)われていった