第18章 イケナイ教育
キーンコーンカーンコーン…
「……では、明日から夏休みに入るが皆ハメ外しすぎたりしないように!いいな!」
ホームルームの終わりを告げるチャイムが鳴り響き、先生の最後の一言が教室に響くとクラスメイト達は帰り支度を始める
俺もタブレットとか、机に残っていたものを鞄に詰めると早々に帰ろうと席を立った
「翔、夏休みどっか旅行とか行ったりするのか?」
隣の松本潤が廊下へつながる扉へと向けた俺の足を止める
「いや…今年はそういう計画はないな…潤は?」
「俺はね〜、ハワイ行くって親父が言ってた…まぁ、親父の仕事の都合ってこともあるからお決まりなんだけどね…」
「お決まりでハワイとかいーじゃんよ…今年も土産、楽しみにしてるな♪」
「オッケー!何がいい?」
「可愛いパツキン美女!w」
「ンなの無理っ!w」
軽い冗談を交わしハイタッチをすると鞄を掴み、じゃあなと一言告げて教室を後にした
幼稚園の頃からの付き合いということもあって、潤とはなんでも話せて気が楽だ
校舎一番奥にある教室から長い廊下を歩く中、いまだ夏休みに興奮している同級生があちこちで立ち話をしていた
暑苦しい強い日差しの中、駐輪場にある自転車を取り出して自宅へと漕ぎ始める
学校から自宅まで10分ほどしかかからないのに今日は異常なほどの暑さで、漕いで1分も経たないうちに額から汗が吹き出してきた
「あー…あっちぃな…早く帰ってアイスでも食お…」
吹き出す汗を手で拭いながら少し強めにペダルを漕ぐ
「ただいま〜…っ…え、何これ?」
自宅に着き、いつもの定位置に自転車を置いて玄関を開けるとリビングにつながる廊下に大量の段ボール箱
「母さんっ!この段ボール箱なにーっ?」
スニーカーを乱雑に脱ぎ捨ててリビングに入ると知らないおじさんと小さな男の子がいた
「こら、翔…なに騒がしくしてるのよ…」
キッチンからコーヒーカップとジュースの入ったコップを乗せたトレイを持った母さんが出てくる
「騒がしくもなるでしょ、なんなんだよあの段ボール箱っ」
一応、お客様らしき2人に軽く会釈してから母さんに小さく耳打ちする
「私この前、あなたに話したでしょう?再婚して相手の方とここで、みんなで暮らすからって…忘れたの?」