第16章 夏男はご立腹
- 櫻井 side -
楽屋の空気が重い…
「ねぇ、翔ちゃん…松潤、なんで怒ってんの…?」
隣で困り果てた顔をする相葉くんがそう呟いた
そんなの俺だってわかんねぇよっ
空気を重くしてる俺の恋人…潤はなぜか無性に〝俺キレてます〟オーラをガンガンに振りまいてて
カタカタ鳴らす貧乏ゆすりが更に空気を重くしてる
みんながみんな、潤のその様子に触れられずに遠巻きに見ていた
俺も正面に座ってその様子を新聞紙からチラリと覗いて見てみる
目線が重なると普段から強い目力がさらにキッとキツくなって見つめるからさっと新聞紙で顔を隠す
マジでなんであんなにキレてんだろう…
今日はソース事件もなかったし、平穏無事な1日だったと思うんだけど
「ねぇ、翔さん…本当にJがキレてる理由わかんないの?」
背後からニノがそう声掛けてくるから頷く
ニノは心当たりあんのかな
振り返りながらチラリとニノを見上げると背もたれに両肘をついたニノが囁いた
「俺、ちょっと心当たりあるんすよね〜…」
耳貸して、と言われて素直にそうする
「…それはですね………………」
「…え、それってじゃあ俺が原因ってことじゃん…」
「ええ、そうだと思いますよ…俺の読みでは、翔さんのあの行動がJの怒りの原因だと思ってます」
半信半疑だけど、ニノの勘は結構な確率で当たってるからな
もし、本当にそうなら…怒りを鎮められるのもまた俺、か
「翔ちゃん…早く松潤の怒りを鎮めてよっ…あれ、怖すぎるからっ」
「わかったよ…じゃ、俺帰るわ」
手元にあった新聞を綺麗に折りたたみ荷物を手にする
「潤…一緒に帰ろう?」
空いた手を潤に差し出すと般若のような表情が少しだけ和らいで手を握ってきた
その手を引いて、2人で楽屋を後にした