第13章 特別な時間を君に
リビングに着いて、端の方に寄せたテーブルの上に放置してあった4つと、手元にある1つのコースターを合わせて5つにして
最後のコースターに書いてある文面
〝Troublemakerの出だしの立ち位置の通りに並べてください〟
この文面を見てさっきまでわからなかったことがやっとわかった
全部のコースターの色が違うこと
これ、全部俺たちのカラーだったんだ
出だしの立ち位置を思い返しながらコースターを並べていく
一番左がリーダーだから〝青〟のコースター
1つ飛ばして翔さんだから〝赤〟のコースター
その右隣に〝緑〟と〝紫〟が来て…
一番最後に手にしたコースターを裏返すと黄色で書かれたハートマーク
それを青と赤の間に置くと
〝I♡YOU〟
思い掛けないものに呆気にとられる
ゲームだけでも、嬉しかったのに…最後の最後にこれって…
「…翔さん………っ」
「お誕生日おめでとう、かず…」
呆然としていた俺の耳に届いた翔さんの声
振り返る間も無く背中にふわりと温かい体温が重なった
「良かった…ちゃんと最後まで辿り着いたんだね」
「翔さん…こ、これ…」
おかえり、とかありがとう、とか他に言いたいことあったけど目の前のことを聞くのに必死でただその一言しか言えなかった
「俺の気持ち、だよ…」
後ろから抱きしめるその腕は温かくて優しくて
滲み出していた涙がじわりと溢れてきて頬を伝った
「…愛してる、かず…」
顎を捉えられて震える俺の唇に触れた翔さんの唇
「俺もっ…愛してる、翔さん…っ」
少し力の抜けた翔さんの腕の中で体を反転させて正面から抱きつく
もっと言葉にして気持ちを伝えたかったけど、溢れる涙が言葉を詰まらせて発することができなかった
言葉に出来ない分、口付けに乗せる
俺のために、特別な時間をありがとう……
最高の誕生日プレゼントをありがとう…
- end -