第12章 自由で、天然で、でも………
離れた唇が嬉しそうに両端が上がる
「……かず……♡」
「……」
自分でしたこととはいえ、照れ臭くなって離れようとしたら片手で腰を押さえるように抱きしめられて
「ちょっと…っ……離してよ…」
「だめ♡離さない…」
体を捻って逃げようともがく中、ケーキの乗ったお皿をテーブルに置いた雅紀が俺の体を隣に座らせたかと思うと抱きあげられる
こ、これは…っ…お姫様、だっこ…!
「ちょ、ちょっと!雅紀…っ?」
「落ちたら危ないから…大人しくしてて?」
じたばた動かしていた体を抱き直されて綺麗に作られた空間をゆっくり移動していく
自由を奪われて雅紀の言う通り大人しくしていると着いた先は寝室で
ベッドにゆっくり体を降ろされたかと思うとすぐに覆いかぶさってくる雅紀の体
ちゅ、と軽く触れるだけのキスをすると嬉しそうに語り出した
「俺ね…あの時かずを怒らせた、って…すごく焦ったんだけどさ…」
頬に残る跡をなぞるかのように指先が頬を撫でていく
「松潤に怒られて、かずが怒ってる理由知って…謝りたい、って思う前にね……嬉しくなっちゃったんだ…」
「な、なんで…?」
「だって…まさか軽く嫉妬してた、なんて嬉しくってさ…」
ふふふ、と口元を緩めてシーツの上の指に雅紀の指が絡められて
「俺は、かずしか見てないよ…?」
今度はむちゅ、と少し長めのキスが降ってきた
離された唇がまだすぐ近く、触れる距離のところにある状態でにこり、と微笑む顔に目線を外す
「わ、わかったよ…」
「ホントかなぁ〜…また嫉妬されないように、ちゃんと教えてあげるね?」
「え、雅…っ、んぅ、ふ…」
さっきよりも深くて長いキスが降ってきて、唇の隙間から雅紀の温かな舌がすぐに口内で俺のものを絡み取った