第11章 風が山を愛するとき
- 大野 side -
「すげ…あれ、雅紀のガチのキスじゃね…?」
「そうっぽいね…翔さんのことナマツバもん、とか言ってたし…ありゃガチだ」
なんか頭上で聞こえる聞き馴染んだ声に少し意識が目覚めてきて
「ん〜……寒い…」
手を伸ばして当たったものをむんず、と掴んで引っ張る
「う、わ…っ?」
「………ん?」
何故か自分に掛けたはずの布団がやけに重くて温かくて
目をうっすらと開けるとすぐ近くに松潤の顔があった
「え、えっ!?な、なにっ?」
「何って…大野さんが俺のシャツ引っ張ったんでしょーが…」
俺が掴んだものは松潤のシャツだったのか
ふと視線を下にやるとなぜか全裸で、しかもベッドにいて
「な、なんで?俺全裸なのっ!?」
松潤を押し退けて慌てて体を縮こませて隠そうとする
「なんで、って…今からセックスするから、だよ?」
「な、なんでセ、セ…っ?」
横にして丸めた体を松潤が一言言って撫でてくる
それだけでびくん、と大きく揺れる体
揺れて少し力が抜けた瞬間にもう一つ違う手が俺の腕を掴んだ
「なんで、って〝ヤらせて♡〟って俺言ったら〝ん〜〟っつって頷いたじゃん」
「は?ち、ちがう…俺頷いてないっ…」
俺の腕を掴んだニノが力強く腕を引っ張って俺を仰向けにさせるとニヤリとほくそ笑んで見下ろしてくる
「頷いた」
「っ、ん、んん〜っ…」
両手首を押さえつけられたかと思うと急に塞がれた唇
慌てて抵抗をしようとしたけど
身構えてなくて驚いて開きっぱなしの口ににゅるり、と滑り込んできた生温かいもの
それが口内で蠢き回って頭の奥が痺れるような感覚に体の力が抜けきってしまって
「……ふふ、キスだけでそんなフニャフニャになるんだ?おーのさんエロっ…」
キスから解放されると手首に添えられた手が離される
口の端から伝う唾液を拭うニノのすぐ横から松潤が俺を見下ろす