第10章 愛を叫べ!
- 大野 side -
「…ん…?」
ぼんやり目覚めた意識
ベッドの上を大きく寝返りを打つ
寝返りを打った先にいるはずのかずがそこにいなくて自然とリビングに向かうとゲーム専用テレビの前で胡座をかく彼がそこにいた
「かず、おはよぉ…」
「ん〜…」
テレビの画面を見たまま生返事が返ってくる
もぉ…ゲームしてたら他のことどうでもよくなっちゃうのどうにかならないかな
「なぁ、かず…」
「……………」
俺の言葉が届いてないのか返事の代わりにコントローラーを操作する音だけが返ってくる
「かずってば!!」
「…なに?うるさい…」
一時停止した画面からこちらを振り返る
俺を見つめる目は少し不満そうだった
起きたらゲームばっかして!俺の方が不満だっつーの!
少し気後れしたけど意を決して話す
「今日出かける約束してたんだからさ…用意しよ?」
「………今日雨降るらしいよ?」
そう言ってまたゲームを興じていく
「…じゃあ行かないの?」
「今度でいいんじゃない…?」
せっかく2人が丸々一日休みだっていうのにゲームをする気なんだ…かずは……
「わかった、もういい!」
リビングを後にしてベッドに1人潜り込む
付き合って長いとこうなっちゃうものなの?
久々のドライブデート楽しみにしてたのに…
付き合い始めの頃みたいに好きとか言ってくれなくなったし、俺は言葉や行動で示してくれないと不安なのに…
「……寂しい…」
2人で眠る大きなベッドで1人頭まで布団を被って眠るわけでもなくその場に丸まった