第9章 逢いたくて…
「も、ももっ、もっ…もしもしっ!?」
『ふふっ…「も」が多いぞ〜(笑)』
ちゃんと喋れなかったことを指摘する俺の大好きな声が耳に届いた
ポッカリ空いていた心が声を聞いただけでじんわりと暖かくなる
『…雅紀?』
「あ、ごめんっ…もう着いたの?」
『いや…乗り継ぎに時間かかるってなったから…ふいに声聞きたくなって…』
そんなこと言われたら嬉しくて泣きそう…
少し感傷的になってるうちに奪われた俺のスマホ
「翔さん〜?オレオレ〜ニノちゃん♡」
「ちょっ!?ニノっ、やめてよっ…」
取り返そうと逃げ回るニノを追いかけるが全然追いつかない
逃げ回りながらニノは翔ちゃんにお土産のあれこれをねだっていた
「こら、ニノ〜…相葉くん悲しそうにしてんだから意地悪すんなよっ」
「……ちぇっ…もうちょっと話ししたかったのに…」
打ち合わせ資料に目を通しながら松潤の嗜める声でニノから返ってきたスマホを慌てて耳にあてる
『ふふっ…見えてないけど、なんかみんなのやりとりが手に取るようにわかったよ…』
「もぉ、笑ってないでニノのこと叱ってよね翔ちゃん…」
俺の翔ちゃんとの時間奪った張本人は俺が電話して打ち合わせを止めたことをいいことに、いそいそとゲーム機を取り出していた
『まぁまぁ…なんとなくで電話しただけだし、そんなに目くじら立てなくても…あっ』
「あ?」
『ごめん、呼ばれたから切るねっ』
「え、翔ちゃんっ!?しょ……」
無情にも響く通話終了の単音だけが耳を刺激する
「あ、れ…?もしかして、もう切れちゃった…?」
「にぃ〜のぉお〜っ!」
「わっ!あーばさんがご乱心だぁっ」
「こら待てーっ!」
せっかくの翔ちゃんからの電話を邪魔したニノを追っかけ回す
「お前ら走り回るなぁ〜っ」
おーちゃんの嗜める声を聞きながらも寂しさをごまかすためにニノを追っかけ回し続けた