第4章 カケラの眩しさ
❁❁❁ 万理side ❁❁❁
『ここで一緒に寝るのも、今夜が最後···かぁ』
相変わらず俺のシャツを着てベッドに潜り込みながら、愛聖が呟いた。
「別に俺は···ずっと愛聖がここにいても構わなかったけどね?」
『そういう訳にもいかないでしょ?逆に怪しまれちゃう』
愛聖がみんなに自分の事を打ち明けてから数日、オレもいろいろと怪しまれたけどね。
ナギくんは俺を見つける度に、昨夜も紳士でいられましたか?とか聞くし。
陸くんや一織くんに至っては、俺が機嫌よくしてれば、なんか赤くなってソワソワ···だったし。
そしてその様子を社長が楽しそうに見てる···とか。
『あの日、万理に会えた事···私、神様に感謝しなくちゃ』
「俺を振り切って逃げようとしたのに?」
『うん、それでも。万理が追いかけて捕まえてくれたから、今の私がいるんだもん···ありがとう万理、あの時に私を捕まえてくれて』
「えっと、それはどういたしまして···かな?」
俺だって驚いたからね、あの時は。
『あ、それから万理にお願いがあるんだけど』
「お願い?」
潜り込んだ布団から起き出して、ベッドの上に愛聖が座る。
なんとなく俺も起き上がり、愛聖と向かい合って座った。
『あのね?この前たくさん荷物が届いた次の日、姉鷺さんに近くにいるからって呼ばれて···最後の荷物を手渡されたの』
「最後の荷物?手渡しで?」
あれだけいろいろと送られてきたのに、まだ何かあったのか?
『それはね、万理がずっと前にくれた···ギター。壊れたりしたら困るだろうからって、姉鷺さんが直接届けてくれて』
「あれか···まだ、持ってたんだ?」
遠い記憶を探り、たまたま買い換えた時のギターをどうしようかと思ってたら愛聖が欲しいって言うからあげたんだっけ。
『ずっと持ってた。急に万理がいなくなってから、万理の代わりにそばにいてくれた···それでお願いって言うのはさ、そのギターに弦張って調弦してくれないかな?なんて』
「俺が?愛聖にもやり方教えたのに?」
俺が笑いながら言うと、愛聖はしばらく弾いてなかったから自信ないんだって、笑い返された。
「わかった。じゃ、今度寮に行ったらね?」