第3章 新しい環境
万理に促されて、取り敢えずイスに座る。
···騒ぐみんなを止めるつもりが、私まで暴走しちゃった。
失敗したなぁ。
壮「はい、愛聖さん」
『ありがとうございます、逢坂さん』
騒いでいるうちに冷めてしまった紅茶を新しい物に入れ替えてくれた逢坂さんが、柔らかな物腰でカップを置いた。
そう言えば、この間も感じたけど。
逢坂さんの立ち振る舞いって、どことなく優雅でちゃんとしたマナーが携わってるな···と思う。
ナギさんみたいな、明らかなレディーファーストとは少し違って、こう···上手く言い表せないけど、私みたいに八乙女社長や姉鷺さんにマナー特訓されて身に付けた振る舞いとは遥かに違う。
子供の頃から、そういう家庭に育ったのかとも思えるけど。
もしそういう家庭に育っているとしたら、芸能界という···言わば水商売のような世界へは来ないだろうから、違うのかな?
壮「えっと···僕の顔に何かついてる?」
『え?』
壮「ずっと見つめられると、さすがに照れるっていうか···」
『ご、ごめんなさい。つい、ちょっといろいろと···』
まさか本人にどんな家庭に育ったんんですか?なんて聞けない···
『あ~···えっと?どこまで話したんでしたっけ?』
ちょっと目を泳がせながら周りを見て、みんなが着席したのを確認する。
一「佐伯さんが、私たちの曲でダイエットを···です」
あぁ、そうそう···ダイエット···?
『だから違います、それ!よくあるじゃないですか動画配信サイト的なので、誰々を踊ってみた!とか。それくらいに思ってくれたら···です』
小「え、そう?僕が見た限り、しっかり踊ってたと思うけど?」
···しっかりは踊ってましたけど、それは言っちゃダメなやつです。
『とにかく!私はここでは一番新人で、研究生です。なので、これから先の事は小鳥遊社長に従いますので···何かお困りの事があれば、遠慮なく言ってください。···と言う事でいいんですよね、社長?』
小「そうだね。なるべく早くウチから仕事させてあげたいけど、少し時間を置きたいだろうから···みんなのサポートをお願いするよ。キミになら安心してサポートを頼めるだろうから」
私にお手伝い出来る事はどんな事でも!と胸を張って返した。