第13章 デビュー会見と、そして・・・
『あれ・・・?でもあの時、万理って首から保護者カード下げてなかった?』
万「下げてたよ?愛聖のお母さんが学校へ連絡してくれて、校長先生から念の為に学校から保護者に配られたカードを持たせるように言われたからって預かったやつ」
だからすんなり学校へ入れた訳ね。
万「さて、事務所到着~!一織くんと環くんは学校まであと少しあるけど気を付けて行くんだよ?知らない人にお菓子あげるからって言われてもついて行ったりしないようにね?」
一「大神さん・・・さすがにそれはありませんよ。四葉さんだけじゃ怪しいかもですけど」
環「なんで俺だけだと怪しいんだよ」
いやぁ、それは私もちょっと一織さんに同感だと思ったりしちゃったよ。
だって・・・
一「もし、王様プリン100個上げるから取りに来て?なんて言われたりしたら、四葉さんどうします?」
環「王様プリン100個?!そんなん貰うに決まってんじゃん!」
一「そういう所ですよ、四葉さんが危ないのは」
確かに、と私も万理も笑う。
『四葉さん、王様プリン100個はいつか私がプレゼントしますから、それまでは知らない人について行ったりしちゃダメですよ?』
環「マジで?!マリーが王様プリン100個買ってくれんの?!・・・だったら、知らない人に声掛けられても、断る」
一「そもそも四葉さんも高校生なんですから、そういう事には無縁になって下さい」
シレッと言う一織さんに私たちも頷きながら笑って、じゃあ遅れないように気を付けてね?と手を振って送り出す。
少し離れた角を曲がるまで見送り続け、時々チラッと振り返っては大きく手を振る四葉さんに、手を振り返した。
『なんだか四葉さんって、ああいう所がかわいいって思えちゃうよね?』
ちょこんと万理を見上げて言えば、万理も笑いながらその気持ちは分かるよと言った。
万「俺の場合は経験者だからね。愛聖が小学校行く時も、あんな感じだったよ。ランドセルに付けた鈴をチリンと鳴らしながら振り返っては、俺やお母さんに大きく手を振ってたっけ」
『そ・・・そういうのはあんまり思い出さなくていいから』
恥ずかしくなって顔を隠しながら言って、万理に事務所の鍵を早く開けてと催促した。
自分の子供の頃を知ってる人間がそばに居るっていうのも、なんだか・・・擽ったい。