第11章 スタートライン
どう考えてもあの女子満載のベッドを女ひとりで組み立てるとかムリだろ!とか思ったし。
陸「でも愛聖さんてさ、ドジっ子で、おっちょこちょいで、無鉄砲!みたいなトコあるからほっとけないっていう三月の気持ちオレ分かるよ!」
オレたちの話を聞いていた陸が、ウンウン!と大きく頷きながら会話に参加してくる。
陸「ちょっと誰かに手伝いとか助けを頼めばいいのに、そこを自分でなんとかしようと先走っちゃう危なさとか、目が離せないよな!」
一「それを七瀬さんが言うのは、どうかと思いますけどね」
陸「どういう意味だよ一織!」
一「そのまんまの意味で大正解だと思いますが?」
また一織はすぐそうやって陸に絡む···
一「ドジっ子で?おっちょこちょいで?あぁ、それから無鉄砲···でしたか?まるで誰かさんそのものじゃないですか」
陸「誰かさんって誰の事だよ!」
一「まだ分かりませんか?では、自分の胸に手を当ててよく考えてみたら分かるでしょう」
一織はそう言い残すと、スッと席を立ちドリンクバーの方へと歩いて行ってしまう。
一織···爆弾落としたまま行くなよな。
陸「一織のヤツ···いっつもオレに絡んで来てさ!ムカつく~!三月からもなんか言ってよ!その···きょ、兄弟、なんだからさ」
あ···、拗ねた。
大「ま、いいんじゃないか?リクはリクらしいドジっ子なトコあるし、愛されマスコットキャラ位置で」
陸「むぅ~!大和さんまで···」
「悪いな陸、そう拗ねるなって。一織が口の悪い弟なのは昔からだし、あんな風に言いながらもちゃんと陸の事も大事に思ってるからさ?な?」
仕方なくフォローすれば、なんとか陸も納得して落ち着いた。
環「あ、マリーからグループラビチャ来てる」
空気の流れとはまったく関係なしに言う環の言葉に、メンバーが一斉にスマホを開く。
ー おはようございます。三月さんのご飯とっても美味しかったです!ご馳走様でした。今日も撮影ですよね?太陽に負けず頑張ってください! 愛聖 ー
大「だってよ。良かったなミツ?」
「う、うっせぇよ!」
不意打ちな愛聖からのご馳走様でしたの挨拶に、顔が綻んでしまう。
また···好きな物作ってやっか?
そう考えるオレの顔を見てニヤつく大和さんにテーブルの下から軽くケリをお見舞した。