第11章 スタートライン
『本当ですか?!凄い···やったぁ!!!』
ある休日の午後。
みんなが社長に呼ばれて出払った後、手持ち無沙汰になってあちこち拭き掃除をしている時···帰って来た二階堂さんから嬉しいニュースを聞かされた。
それは、遂にみんなが···アイドリッシュセブンとしてのメジャーデビューが決まった話で、思わず歓喜の声を上げてしまう。
大「まぁ、まだまだ準備はこれからだからってのもあるけど、とりあえずって感じだよ」
『それでも決まったなら凄いじゃないですか!こ、今夜はお赤飯かも?!』
やや興奮気味に言えば、それを作るのはきっとオレか?と三月さんが笑い出す。
『えっと、じゃあ···今夜の夕飯支度は私が!』
三「それはやめろー!食材がかわいそうだろっ!」
一「その前に、これからの事を考えたら健康管理は最優先事項でしょう」
い、一織さん?!
環「確かに···腹痛くなったら困るっつーか」
四葉さんっ?!
陸「そうだよなぁ···オレも発作とか出たら···」
陸さんまで!
ナ「マリー?ワタシは例えどんな物でも、マリーが作ったものなら食べますよ?」
大「ナギ···おまえさんチャレンジャーだな」
三「そうだぞナギ?命は大事にしろよ?」
『ちょっとみなさん!酷すぎる!!』
両手をバタつかせて言えば、揃ってウソウソ冗談だって!とゲラゲラと笑い出した。
『やっぱり、本気で料理教室とか行ってみようかな···』
「「 はっ?!料理教室?! 」」
え···そんなに驚くことかな?!
『だって私って、お茶入れるくらいしか出来ないし。やっぱり女の子って料理上手な方が···とか?』
子供の頃は母さんがずっと···だったし。
この仕事を初めてからは八乙女社長に包丁握るヒマがあるならレッスンに励め!とか。
火傷やケガなんて許さない!とか。
そんな感じでほとんど料理なんてしたことないから。
やったことある記憶って言えば、学生時代の家庭科で調理実習くらいだし。
あれ···それも直接的には調理に携わってないかも?!
野菜や果物を洗ったり、食器を用意したり、使い終わった調理器具を洗ったり?
昔と今も変わってなーい!!
私って···その頃から料理に関しては有害人物だったの?!
巡る悲しい思い出に、ガックリと肩を落とした。