第9章 ふたりぼっちのスタート
万「とりあえず、愛聖から連絡はする必要はないよ。仕事でなにかあれば千や百くんから聞き出せるし、愛聖は愛聖の仕事を最優先にこなす事が大事だろ?」
『それはそうだけどさ···千に聞いてまともに教えてくれると思う?』
万「う~ん···ま、ないだろうな。そういう時は百くんに聞いてみるとか、状況に応じて考えればいいと思うけど?それに、ここにいる時は俺も対応してあげられるけど、愛聖が出先でなにかあった時は···俺は、場所によっては駆け付けてあげられない事もあるから···」
『そう···だね···そうする』
いろんな状況を考えると、私って凄く恵まれた環境にいるんだって事が分かる。
前はなにかあれば、私が黙っていてもすぐに八乙女社長や姉鷺さんが動いてくれて、話を聞いてくれたり解決してくれたり。
だけどあの人は···あの人だけじゃない、他の一般的な新人さんっていうのは、ちょっとした事でも誰に相談していいのか分からなかったり、それも含めて悩んだり迷ってしまったり、冷たい現実に晒されて、それでも夢を叶える為に努力しているんだって。
それなのに、相談して見て?とか、話を聞いてあげることくらいなら出来るからって言った私が、連絡しないっていうのも心苦しいよ。
せめて現場が同じだったりとかなら、話は別なんだけど。
それなら千や百ちゃんもいるし、みんなで話をしたりするなら問題はなさそう···でもないか。
千、結構なトゲを打ち放ってたしなぁ。
あの百ちゃんでさえ、今日は少し違った感じでいたし。
やっぱり、ここはちょっとだけ先輩で、同性の私がちゃんと面倒見てあげられるくらいの心の広さを持たないと!だよね···?
万理の言ってる事も頭では理解してるけど、お疲れ様とか、それくらいのメッセージなら問題ないんじゃないかなぁ。
万「どう?少しはモヤモヤが取れてスッキリした?」
『そうだね···ありがとう、万理。それから、1個だけ確認したいんだけど···私って子供の頃さ、鼻たれだった?』
万「···は?」
千たちに言われた事を話せば万理は涙目になるほど大笑いする。
万「大丈夫、ちゃんと普通の小学生だったよ?」
『なら、良かった』
そう笑いながら返して、その日はそのまま万理を帰した。
女の子が鼻たれだなんて、恥ずかしいからね···