第21章 ココロ、重ねて
小「いやいや、いつも仲良くて結構、って感じかな?絶対王者のスーパーアイドルRe:valeをあんな風に扱える愛聖さんは頼もしいね」
『やめてくださいよ、もう。千も百ちゃんも昔からの顔馴染みってだけですぐダル絡みしてくるんだから・・・あ、そうだ社長。さっき監督から今日少し撮影したいって聞いたんですけど』
私が言うと社長もその話はさっき聞いたよと頷き、今日はここの仕事の後に軽い打ち合わせが夜あるだけだからスケジュール的には問題ないと言う。
・・・軽い打ち合わせ、って、なんの?!
もうひとつのドラマの仕事は今日は予定じゃないし、それならどこのどなたとの打ち合わせ?と考えていると社長がニコニコしながら私の顔を見る。
小「この間ミニアルバムを出したでしょ?それで、せっかくだからちょっとした記念イベント的にライヴしちゃおうかって話が出てね」
『話が来てねって、どこからですか?!私なんにも聞いてないんですけど?!』
思わず素で答えると社長は楽しそうに笑いながら、だって言ってないもーん!と更に笑う。
小「実はね、アルバム制作が決まったあたりから千くんが話を持って来て、出来る限り手伝うからやりましょうよって事になってたんだ」
『千がって、でも事務所だって違うのにどうしてそんな・・・』
小「そう?でも彼は、と言うより彼らRe:valeは愛聖さんの今回の楽曲に関しては関係者だよ?」
『だからってそんな・・・』
アイドルでもない、アーティストでもないのにライヴだなんてと困惑を見せれば、八乙女の所にいた時も経験がないわけじゃないでしょ?と社長はまた笑う。
『でもあの時と今は状況も違うし、それにRe:valeが手伝うって言っても千たちだってスケジュールがそう簡単に空くわけじゃ』
小「ん?愛聖さんの単独だけど?」
『単独・・・えぇっ?!単独ですか?!』
予想を遥か斜め上からの言葉に驚きの反応しか出来ない私に、実はもう場所まで決まってるんだよね、と社長は鞄から資料を出して私に向ける。
『この場所、って・・・あの雨の日の・・・えぇっ?!こんな大きな場所で?!』
そこに記されていた場所はアイドリッシュセブンが大雨に見舞われながらライヴをしたあの場所で。
小「あれ?もしかして小さ過ぎる!とか?」
『そんな訳ないです!むしろ逆です!』